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Sunday, February 16, 2020

【独自】「リアルタイムに保険料計算」、米あいおいニッセイの革新的自動車保険とは - ビジネス+IT

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Aioi Nissay Dowa Insurance Services USA
President 藤井 謙治氏(左)
Treasurer 島村 聡亨氏(右)

あいおいニッセイ同和グループのIoTを活用した自動車保険への取り組み

 まず、保険料をリアルタイムに算出する自動車保険を開発した Aioi Nissay Dowa Insurance Services USA(以下、米あいおいニッセイ)について紹介しておこう。

  米あいおいニッセイは、あいおいニッセイ同和損害保険(MS&ADインシュアランスグループホールディングス傘下。2010年に、あいおい損保とニッセイ同和損保が合併)の“イノベーション”を担う子会社であるという。

 あいおいニッセイ同和(日本)は、IoTという言葉のない2004年にトヨタと共同で走行距離連動型自動車保険「PAYD=Pay As You Drive(ペイド)」を開発した。

 米あいおいニッセイの代表(President)である藤井 氏は、次のように説明する。

「あいおいニッセイ同和は2015年、走行距離だけでなく、ブレーキングや急発進、コーナリングなどのデータを分析して保険料に反映する英国のテレマティクス保険プロバイダーのBox Innovation Group(以下、BIG)を買収しました。そして、翌2016年には、BIGの持つテレマティクス保険のノウハウを活用して、トヨタコネクテッド、トヨタファイナンシャルサービス、弊社の3社で共同出資会社『トヨタインシュランスマネジメントソリューションズUSA(TIMS)』を設立し、テレマティクス自動車保険の開発に取り組んでいます」(藤井氏)

 また、あいおいニッセイ同和の前身であるあいおい損保はトヨタグループとの関係が親密であり、1998年より日本国外28か国でトヨタ専用の保険を開発・販売してきた。

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MOTERの画面
 テレマティクス自動車保険とは、自動車に搭載したデバイスから自動車やドライバーの情報を通信システムを介して収集、分析し個別に保険料を算出する保険のことだ。

 この米あいおいニッセイが開発したのが、「Mobility on the Edge in Real-Time(MOTER)」というソフトウェアである。これは、保険料をリアルタイムに算出するという、テレマティクス自動車保険の“究極”ともいうべき機能を実現する。それは、どのような仕組みで実現されているのだろうか。

MOTERとは? リアルタイムの保険料算出を実現する仕組み

 MOTERは、車両に搭載されたセンサーやカメラからデータを取得分析することで、車両所有者と保険会社がリスクを適切に管理するためのサービスだ。藤井氏は、MOTERのポイントを次のように説明する。

「MaaS(Mobility as a Service)やCASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)などの進展に伴い、車の使い方も保険のあり方も変わっていくと考えています。今後、車がどんな使い方がされているのかをリアルタイムで把握することで、保険会社は適切な保険料やサービスを提供できるようなるのです。一方でこうした仕組みの実現には莫大なデータも必要になってきますが、莫大に増えていくデータの保有量や通信料、あるいは個人情報の保護などを、より効率的かつ安全にしたいと開発したのがMOTERです」(藤井氏)

 MOTERの最大の特長は、保険のアルゴリズムをできるだけ車に近い所(エッジ)で計算し、必要なデータだけを通信で飛ばすことで、リアルタイムに保険料を算出できることだ。従来は、これができなかったために、さまざまな問題が生じていた。

「現在米国では、多くのMaaS関連のスタートアップが自動車保険料が高すぎて苦戦しています。それは保険会社側がMaaS会社の車について、リアルタイムで誰がどんな運転や用途で車を使っているか把握できず、事故時の責任の所在も不明確なためです。保険を決めないまま新しいビジネスモデルを作り、最後に『では、保険はどうするか?』となったときに、保険料が高すぎでビジネスモデルのエコノミクスが破綻するといったMaaS会社も見てきました」(藤井氏)

 MOTERであればリアルタイムで車の使い方や責任の所在もはっきりするため、今まで不明瞭だったために高くならざるを得なかった保険料を、リスクに応じ適切にはじき出すことができるようになるという。また、MOTERの事故感知機能では、不適切な保険金支払いを防ぐ仕組みも備えているとした。

 なお、MOTERはデンソーが開発した車載エッジコンピュータ「Mobility IoT Core」に搭載され、「エッジで=車側で」データが分析される。また、必要なデータの授受は、Amazon Web Servicesの自動車業界向けクラウドプラットフォーム「Connected Vehicle Reference Architecture」を介する形だ。

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MOTERはデンソーが開発した車載エッジコンピュータ「Mobility IoT Core」に搭載され、エッジでデータの収集・分析が行われる

不可欠だったデータサイエンティストと保険アクチュアリーの共同作業

 では、MOTERでは、具体的にどのようにして処理するデータを減らし、リアルタイムに保険料を算出しているのだろうか。また、こうした処理は、技術的にはどれほどの困難を伴うものなのだろうか。

 「保険料をリアルタイムに計算することは理論的には可能でしたが、技術的、コスト的にハードルが高かったのです」と、同社の財務責任者である島村氏は次のように説明する。

「膨大なデータを処理すると、コストも時間もかかります。そこで、エッジ側のアルゴリズムでフィルターをかけて必要なデータだけを集めます。これにより、通信コスト、ストレージコストを抑えることができます。そこで重要になるのが、保険料を算出するアルゴリズムです。この開発には、データサイエンティストなどのテック人材10人、加えて保険アクチュアリー2人のチームで取り組みました」(島村氏)

 保険アクチュアリーとは、確率論や統計学などの数理的手法を活用して保険などの金融商品を設計する専門職だ。

「保険アクチュアリーは、基本的には保険業法に即しながら伝統的な統計学に基づき保険料を算出します。一方でデータサイエンティストは既成概念にとらわれずビッグデータから最新の分析技術やモデリングを使って、データ内の複雑な関係性を把握しアルゴリズムを進化させています。アルゴリズムは生き物で、技術の進化や環境の変化でアルゴリズムも変わっていくべきです。米あいおいニッセイでは、最新最適なアルゴリズムを、保険アクチュアリーとデータサイエンティストが協力しながら作り出しています」(藤井氏)

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ドライブレコーダーと車載エッジコンピュータの連携により、危険運転を検知するとリアルタイムに保険料に反映する

【次ページ】まずは米MaaSからサービスインを予定、日本での展開は?

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