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Saturday, October 10, 2020

医療費への賢い備え方 公的給付ふまえ民間保険を検討 - 日本経済新聞

新型コロナウイルス感染に対する不安を抱えて過ごす日々が続き、病気やケガへの備えを見直す人が増えている。「医療費への備え=医療保険への加入」と考えがちだが、保障を手厚くすれば、その分保険料負担が増す。公的な医療給付の中身をきちんと知った上で、賢く無駄なく備えることが重要だ。

■手厚い公的医療給付の中身を知る

病気やケガで必要になる医療費は症状や治療法、入院日数などにより違ってくるが、医療費の自己負担が何百万円にもなるといったことは起こらない。なぜなら、日本は公的な医療保障が充実しているからだ。

日本に住む人は何らかの公的健康保険に加入することになっている。サラリーマンの場合は勤務先の健康保険組合か全国健康保険協会(協会けんぽ)、公務員は共済組合、自営業者やフリーランスは国民健康保険に加入する。

公的健康保険の加入者や扶養家族は、医療機関の窓口でかかった医療費の3割を支払う。小学校入学前の子は2割で、それとは別に自治体による補助がある。70歳以上の人は所得に応じて1割、2割、3割のいずれかとなる。

自己負担割合が3割でも医療費がかさむと高額になるが、1カ月の自己負担額には上限があり、それを超えた金額は「高額療養費」として払い戻しが受けられる(上限額は年齢や所得などによって異なる)。例えば、年収370万~770万円程度の70歳未満の人の場合、月100万円医療費がかかったとしても、自己負担は8万7430円で済む。

さらに、直近12カ月に高額療養費の支給が3回以上あった場合は「多数該当」となり、4回目以降の限度額がさらに下がる。

加入している健康保険組合によっては「付加給付」があって、自己負担の上限額が2万~4万円程度のこともある。しかし、「付加給付があっても、制度自体の存在を知らない人がかなり多い」と医療に詳しいファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは話す。加入している健康保険組合に付加給付があるかどうか、あるなら上限額がいくらかを、必ず確認しておきたい。

病気やケガによる入院や自宅療養で働けなくなり、仕事を休んで給料が受け取れなくなった時、健康保険組合や協会けんぽに加入していれば、3日連続して休業したあとの4日目から「傷病手当金」が受け取れる。

国民健康保険には傷病手当金の仕組みはないが、新型コロナ感染症に関しては傷病手当金を支給する自治体もある(ただし、雇用されている人が対象)。

■税金の還付も受けられる

医療費に関する制度で利用したことのある人が多いのは「医療費控除」だろう。

1~12月にかかった医療費が10万円を超えた場合、超えた金額を所得から差し引くことができ、確定申告することによって払い過ぎとなった所得税が還付(払い戻し)される。生計を同じくする家族の医療費は合算が可能だ。

控除の対象となるのは基本的に、治療にかかった医療費や医薬品代など。病気の予防や健康増進のための費用は対象とならない。

このように医療に関する公的給付は手厚いので、それを踏まえて民間の医療保険の保障内容を検討しよう。

ただ、所得の高い人は70歳以降の窓口の自己負担割合が上がっており、さらなる引き上げも検討されている。高額療養費は度重なる改定で、特に高所得者の上限額が上がっている。「公的医療制度の見直しで医療費の自己負担は今後も増加していく傾向にある」(黒田さん)ということは知っておきたい。

■自己負担の出費に備える

病気になったりケガをしたりした時、公的健康保険の対象とならない支出は自己負担しなければならない。

例えば、入院中に医療機関から提供される食事についてはその費用の一部を支払う必要がある。特に金額が大きいのは差額ベッド代。本人が希望して個室などを利用した場合、費用は全額自己負担となる。厚生労働省のデータによると、1人部屋の平均は1日当たり約7800円だが、金額は地域や医療機関によって差が大きく、3万円以上する医療機関もある。

こうした費用を手当てするには、貯蓄で備えておくか、あるいは民間の医療保険を利用する。医療に備えるお金として貯蓄を十分に確保できていれば保険は不要だが、貯蓄が少ない、あるいはリタイア後に貯蓄を医療費で取り崩したくないという場合は、民間の保険の利用を検討しよう。

■民間の医療保険の仕組みを理解する

民間の医療保険は、入院給付金と手術給付金がベースで、それに様々な特約が付いている。公的な医療給付が受けられることを考えると、入院給付金の日額は5000円で十分だと考えられるが、「入院するなら絶対個室がいい」と思うなら、その分入院給付の日額を増やすのも一案だ。

特約は一つひとつ内容をチェックして、必要だと思うものだけを付けよう。保障内容を自分で確認した上で加入すれば、給付金の請求漏れを防ぐことにもつながる。医療保険に加入中の人は、この機会に保険証券を見直そう。不要な特約は解約すれば、その分保険料が安くなることがある。

病気の中でもがんは、公的健康保険の対象とならない治療法を選択したり、ウイッグ(かつら)などが必要になったりして他の病気に比べて費用がかかることがある。がんが心配な人は、がん保険に加入するか、医療保険にがん特約を付けておくといいだろう。

民間の医療保険は種類が多く、保障内容にも様々な違いがある。保障額を高くしたり色々な特約を付けたりすると保険料が高くなる。FPの黒田さんは「保障と保険料のバランスが大切」と話す。

■収入減に備える保険も

病気・ケガについては、医療費という支出だけでなく、入院や自宅療養で働けなくなった時の収入減に対する備えも考えておく必要がある。傷病手当金が受け取れても、収入が3分の2になると家計は厳しい。特に傷病手当金のない自営業者やフリーランスは収入減への備えのニーズが高い。

損害保険会社の所得補償保険は勤務先の団体保険や団体扱いで加入できるケースが多い。保険料が安いので、まずこれが使えるかどうかを確認しよう。生命保険会社の就業不能保険もある。保障内容や保険料は商品によって異なる。ネットで調べられるので、利用する場合は十分比較検討したい。

「疾病保障付き住宅ローン」で就業不能に備えるのも一案。がんや急性心筋梗塞、脳卒中になった時、あるいは生活習慣病で働けなくなると、ローン返済が不要になる。

(ファイナンシャルプランナー・馬養雅子)

[日経マネー2020年11月号の記事を再構成]

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