復興庁は8日、東京電力福島第1原発事故の避難者らを対象にした医療、介護保険料と窓口負担を全額免除する特例措置について、避難指示を解除した翌年4月から原則10年間で終了させる方針を明らかにした。解除時期によって対象地域を4グループに分け、終了時期をずらす。
グループの内訳と免除期限は表の通り。今回の見直しは、2017年4月までに避難指示が解除された地域が対象。その後に解除された地域も同じく、10年後に特例措置を終える方向で自治体と検討する。
激変緩和対策として、3段階に分けて特例措置を終了させる。免除期限の前年度は保険料が半額免除に、最終年度は保険料の免除がなくなる。窓口負担の全額免除は最終年度まで続く。11~14年に避難指示が解除された地域は最も早く負担増となり、23年度に保険料の免除が半額になる。
西銘恒三郎復興相は8日の定例記者会見で「避難指示解除から10年ほど経過した地域は住民の帰還が進み、生活基盤も一定程度整っていると考えられる」と述べ、理解を求めた。
現行の免除対象は東日本大震災発生時、避難指示が出た福島県内の12市町村に住み、一定の所得を超えない人。国民健康保険や後期高齢者医療、介護保険の保険料や窓口負担に加え、福祉サービスの利用者負担が免除されている。
「致し方ない」住民ら冷静に受け止め
東京電力福島第1原発事故の避難者らの医療費や介護保険料を全額免除する特例措置を段階的に終了する方針を復興庁が発表した8日、福島県の関係自治体の担当者や住民は発表内容を冷静に受け止めた。
楢葉町の担当者は「いつまでも続くものではなく、致し方ない」と話す。避難指示解除時期によって廃止時期が異なる点にも「段階的になるのは現実的な着地点」と理解を示す。
富岡町の担当者は「廃止時期が一律ではなく、復興の進み方が違う実情を配慮してもらえた」と評価。町内で終了時期に差が生じることには「うちだけでない。被災地域全体を見ると公平な判断」とした。
大熊町と双葉町は当面措置が継続され、避難指示解除から10年での終了が見込まれる。大熊町の担当者は「国民の理解を考えると10年は妥当」とみる。町内で終了時期に差が出る可能性に関しては「特定復興再生拠点区域に入るかどうかの際に生じたような住民の分断がないよう配慮してほしい」と求めた。
双葉町の伊沢史朗町長は「(政府は)関係自治体に説明し理解を得たと受け止める。住民帰還の状況を踏まえ、公平性を考えた対応だと理解する」と話した。
住民は納得しつつも注文をつけた。帰還困難区域の浪江町大堀地区から南相馬市に避難する根本清己さん(65)は「仕方ない。ただ帰還困難区域も除染してほしい。国は『戻らないなら除染しない』とも受け取れる説明をするがおかしい。除染され安心できるなら浪江に戻りたい」と話した。
双葉郡8町村でつくる双葉地方町村会、同議長会は例年6月と12月に、政府に継続を要望してきた。事務局によると、今後も継続を要望する方向だ。
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