不妊治療にも“保険適用”を、期待の声も残された課題とは
「妊活にとってはとても良い効果があるので」(ピア・カウンセラー 渡邉雅代さん)
不妊治療を行う人向けに「妊活ヨガ」のレッスンをする渡邉雅代さん。新型コロナウイルス対策のため、今、レッスンはオンラインで行っています。
受講者たちの話題にのぼっていたのは。
「(体外受精などが)保険適用になるのではという話がいま出ていて」(ピア・カウンセラー 渡邉雅代さん)
「金銭的な負担が減ると(不妊治療を)継続するモチベーションになるのかなと思う」(Aさん・女性)
「(治療費が)何百万という単位で出ていくので」(Bさん・女性)
精神面だけでなく、経済的な負担も重くのしかかる不妊治療。政府は29日、5年に1度見直される「少子化大綱」を閣議決定しましたが、その中では、政府が目標とする「希望出生率1.8」の実現に向けて不妊治療に対する保険適用の拡大に向けた“方向性”が示されました。いわゆる「妊活」の支援団体によりますと、不妊治療を受けた結果、生まれてくる子どもの数は増加傾向にあるといいます。
保険適用が拡大されれば、不妊治療の経済的負担は緩和されることになりますが。
「通院のための休暇が取りやすい制度があればいい」(酒井さん)
こう話すのは、子宮外妊娠で右の卵管を切除した酒井さん(29)。現在、3度目となる体外受精を行っていますが、不妊治療を続けることの難しさを明かします。
「通院のスケジュールは生理を起点として決まるが、この日は(病院に)行ったら、『2日後に来てくれ』と言われても、有給休暇は1か月前に申請するのが常識だと思うので」(酒井さん)
酒井さんは、治療と仕事の両立に悩んでいるのです。
また、「妊活」の支援団体は、保険適用の拡大を歓迎しながらも、課題は山積していると指摘します。
「(医療機関によって)年間の体外受精の施術数には差があるはず。経験も千差万別でおのずと(技術に)バラツキは出てきてしまう」(NPO法人Fine 松本亜樹子理事長)
不妊治療には国が定める明確な基準がなく、治療の「質」の確保ができなければ、妊娠・出産には繋がらないと松本さんは訴えています。
「人間が1人この世に生まれるか生まれないかの大事な治療なので、慎重に丁寧にやってもらいたい」(NPO法人Fine 松本亜樹子理事長)
また、最近は、新型コロナウイルスの影響で、不妊治療を行う医療機関の中に診療を中断するところもあり、治療を続けたくても続けられないケースも出てきているということです。「待ったなし」と言われ続ける少子化対策。不妊治療の重要性は増していきますが、経済的な負担軽減だけでなく、治療水準の向上や治療を受けるための環境整備も急がれています。
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May 30, 2020 at 01:41PM
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