コロナ禍における補償を巡って、対応が二転三転してきた大手損害保険各社。その背景と経緯についてQ&A形式で解説する。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)
後手に回った当局対応
Q、6月末にあいおいニッセイ同和損保と三井住友海上火災保険の2社が、コロナ禍に伴う休業補償を拡充すると発表しました。飲食店などで感染者が出て休業する場合に、500万円を限度に補償するそうです。やや唐突な印象を受けましたが、どのような背景があるのでしょうか。
A、背景にはいろいろな要因が絡んでいますが、その一つは監督当局である金融庁への対応が、これまでことごとく後手に回ってしまったことです。
経緯をたどると、損保業界の風向きが悪くなったのは今年3月、コロナ禍によって人気ミュージシャンのコンサートなど大規模なイベントが相次いで中止に追い込まれたあたりからです。
Q、そういえば、一部では強行開催に踏み切ったイベントもあり、問題視されていましたね。
A、そうですね。そうした混乱を生んだ一因とされるのが、損保各社の興行中止保険です。新型コロナウイルスをはじめ、感染症については補償の対象外(免責)としていたことで、多くのイベントの主催者から「せっかく保険をかけていたのに」という悲鳴が上がることになりました。
さらにその後、コロナの感染拡大によって商業施設や飲食店などが、徐々に営業自粛に追い込まれていったわけですが、その局面においても損保は事業者に対してほとんど補償ができず、影が薄い状態が続きました。
国難ともいえる状況の中で、金融庁は保険会社や銀行などの金融機関に、柔軟な対応を求めていました。ですが損保業界は「現時点でリスク量の算定が難しいものを引き受けるわけにはいかない」と、補償ができない理由を並べ立てることに終始し、業界としての論理や常識を押し通そうとしました。そのことが、金融庁の不興を買うことになったわけです。
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July 06, 2020 at 02:00AM
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