会社員やパートが加入する社会保険の保険料は、給与の増減に応じて見直されることになっています。ただ、見直しにはいくつかの条件を満たす必要があり、状況によってタイミングも異なります。読者から寄せられた質問を基に、仕組みを詳しく見てみました。(河郷丈史)
<Q>等級の上げ下げ どんな仕組み?
残業や休日出勤などでパート収入が増え、社会保険が8等級から10等級となり、昨年11月から保険料が上がりました。通勤手当が上がったことも理由のようです。しかし、時給は変わっておらず、どんな仕組みで保険料が上がったのかよく分かりません。収入が元に戻れば保険料も見直してもらえるのでしょうか。(愛知県在住、60代女性)
<A>4〜6月給与で見直し 条件により「随時改定」
社会保険(健康保険、厚生年金保険)の保険料は、月給を金額ごとにグループ分けした「標準報酬月額」に基づいて計算される。標準報酬月額は厚生年金の場合、32等級に分類され、例えば月給が11万4000円以上、12万2000円未満なら5等級となり、保険料計算の基となる標準報酬月額は11万8000円だ。
一方、月給が増減しても、標準報酬月額はすぐに見直されるとは限らない。基本的には、毎年4〜6月の給与の平均額から標準報酬月額が決まり、9月から翌年8月まで1年間適用される。「定時決定」と呼ばれる手続きだ。加入する健康保険の保険料率が変わるなどしなければ、毎月の保険料も1年間変わらない。
一方、4〜6月を待たずに標準報酬月額を見直す「随時改定」という制度もある。条件の一つは、基本給や家族手当、通勤手当、住宅手当などの「固定的賃金」が変動していること。残業手当や休日勤務手当は固定的賃金に含まない。
このほか、固定的賃金が変動した月から3カ月間の給与平均額が、これまでの標準報酬月額と比べて2等級以上変わることや、給与の支払いの対象となる「支払基礎日数」が一定以上あることも必要だ。
名古屋市の社会保険労務士、木村省吾さん(54)は「たまたま残業が続いて給与が上がっても、固定的賃金が1円も上がっていなければ随時改定にはならない」と解説する。質問者のケースでは、基本給に当たる時給は変わっていないが、通勤手当が変わったことで固定的賃金の変動の条件を満たし、給与も8等級から10等級へ2等級変わったため、随時改定されたと考えられる。
給与が増えて通勤手当が減った場合など、給与と固定的賃金の上下の方向が一致しない場合、随時改定の対象にはならない。なお、厚生労働省によると、新型コロナウイルスの影響で休業した人を対象に、保険料の負担軽減のため、随時改定の要件に当てはまらなくても標準報酬月額の改定を認める特例も設けられている。
木村さんは「質問者の給与のアップが一時的なものなら、次回の定時決定か随時改定で社会保険の等級は元に戻る」とした上で、「等級が下がれば、将来の年金額や、傷病手当金などの支給額も下がる。負担と給付の両面から考えてほしい」とアドバイスする。
関連キーワード
からの記事と詳細 ( <プロに聞く くらしとお金の相談室>社会保険料に読者から質問 等級の上げ下げ どんな仕組み? - 東京新聞 )
https://ift.tt/3a84oXL

No comments:
Post a Comment