ややこしい保険の研究③(全5回)
大阪府在住の松尾保美さん(70)の夫は2年前、大手銀行に勧められて「外貨建て保険」に入った。夫は昨年他界し、松尾さんのもとには「外貨」が戻ってきた。しかし円高で価値は実質1割目減りしていた。
拡大する2019年4月に販売された「外貨建て保険」の一商品の契約資料。たくさんの説明書きがあり、読みこなすのは容易ではない
リスクや契約内容について十分な説明がなかったことに、松尾さんは納得がいかなかった。松尾さんは消費生活相談員の経験が長く、消費者の目線で保険の問題をチェックする「生損保研究会ぐるーぷ31」の代表も務めている。
「外貨建て保険の問題を調べよう」
2019年初め、ぐるーぷ31で松尾さんが提案すると、相談員仲間らでつくるメンバーはすぐに賛同してくれた。外貨建て保険の「わかりにくさ」はメンバーたちの間でも話題になっていた。
朝日新聞の集計では、生保大手が18年度に売った外貨建て保険の販売増額は3.6兆円に達し、前年の1.5倍に伸びている。一方、苦情件数がこの5年で約3倍に急増している保険でもある。相手に不足はない。
口座を確認し、奥の席へ
ぐるーぷ31の調査研究の特徴は、保険会社や銀行の窓口で、メンバーがお客となって実際に勧誘を受けてみて、その体験から売り手の説明不足などを検証する「体当たり調査」にある。
調査の対象は、保険会社8社が売り出す計16種類の外貨建て保険。これらの保険を代理店として販売している大手銀行や証券会社など11社への調査が始まった。
各メンバーが1人1~3商品の調査を担当することとし、保険を売る銀行の窓口などに出向くことになった。
しかしすぐに壁にぶつかった。
銀行は自行に取引口座がある顧客には正式な資料を渡してきちんと説明するが、いわゆる「一見(いちげん)さん」にはカタログを渡す程度であまり説明しない。口座情報からターゲットを絞る銀行のやり方が垣間見えた。
ならばターゲットになればいい。
メンバーはあえて自身が口座を…
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March 30, 2020 at 05:00AM
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銀行は言った「考えなくていい」 自ら保険勧誘の標的に - 朝日新聞デジタル版
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