関西電力の役員らによる金品受領問題などで会社に損害を与えたとして、関電は歴代社長を含む旧経営陣5人を相手取り、計19億円超の損害賠償を求める訴訟を起こした。単純計算でも1人当たりの請求額は約4億円と巨額になる。企業の不祥事をめぐっては、過去にも旧経営陣が巨額の損害賠償を求めて提訴され、役員らが賠償金を支払えないケースもあった。ただ、企業側はこうした事態に備えて保険の利用を進めており、関電の旧経営陣5人にも適用される可能性がある。(岡本祐大)
賠償額増える可能性も
関電は6月16日、八木誠前会長や岩根茂樹前社長ら歴代3社長を含む元取締役5人に対し、計19億3600万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。「現役の取締役から反対意見があった」(関係者)ほどの苦渋の決断だったが、関電はガバナンス(企業統治)改革への姿勢を示すために提訴に踏み切った。
賠償請求の内訳は、営業上の損失(8億7900万円)▽信頼回復のための広告費用など(2億8400万円)▽一連の問題の調査費用(少なくとも7億7300万円)。追加で検討する福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)の関連企業への不適切な工事発注に伴う損害も算出されれば、さらに請求額が膨らむことになる。
保険料は会社側が負担
果たして元取締役らはこれほどの金額を賠償することができるのか。関電は被告となった5人全員の過去の個別報酬を開示していないが、社長であれば報酬は年間8千万~9千万円程度で、同社関係者は「報酬だけでは支払いが難しいのでは」とみる。
一方で、元取締役5人は関電が加入する「会社役員賠償責任保険(D&O保険)」の対象だ。D&O保険は損害保険各社が販売しており、役員の業務遂行に起因する損害賠償請求に対し、限度額の範囲内で保険金が支払われる。
関電が加入するD&O保険の限度額は明らかになっていないが、役員個人の負担は一定程度カバーされる見通しだ。関電は「保険の上限額に合わせて請求額を決めたわけではない」とするものの、保険料は会社側が負担しており、賠償金の回収にめどをつけている可能性がある。
全額回収困難な場合も
D&O保険に加入しているのは関電に限った話ではない。経済産業省の平成29年度の調査によると、上場企業917社のうち実に93%が加入していた。東京海上日動火災保険の同年度の調査では、従業員3千人以上の企業における支払限度額の平均は9億5千万円。20億円以上に設定する企業も13%あったという。
「ミスタードーナツ」を運営するダスキンでは、無認可添加物を含む肉まんの販売をめぐって平成20年、元役員11人に総額5億5800万円の支払い命令が確定し、保険金の支払いなどで全額が回収された。一方、総額53億円以上の支払い命令が出た別の元役員2人については、食品衛生法違反罪に問われたため保険適用が認められなかった。2人からは少なくとも6千万円が支払われたが、全額回収には至らなかった。
旧経営陣を相手取った訴訟ではこのほか、巨額損失隠し事件があったオリンパスや、不適切融資で多額の損失を出したスルガ銀行などの例がある。
企業監査に詳しい関西大会計専門職大学院の松本祥尚教授は「取締役は株主に責任を負っており、損害を与えた以上、金額がいくらであろうと会社が支払いを求めるのは当然だ。取締役本人に支払い能力があるかどうかは関係ない」と指摘している。
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July 11, 2020 at 06:30AM
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切り札は「賠償保険」 関電19億円訴訟、旧経営陣は払えるのか - SankeiBiz
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