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火災保険が不正請求や詐欺の対象となりやすいのはなぜなのか(写真:CORA/PIXTA)
損害保険各社が扱う一般住宅向けの火災保険料の値上がりが続いている。火災保険料は損保各社で作る損害保険料算出機構が目安となる参考純率を算出、それを基に各社が保険料を決めるが、同機構は2018年、2019年と参考純率を引き上げている。
契約期間も2015年に36年から10年に短縮されたが、2022年度後半以降にはさらに最長5年になる見込み。保険期間が短くなれば支払う額は増え、家計の負担は重くなる。そんな状況の中、火災保険の不正請求や詐取が止まらないという。なぜだろうか。
巨大災害頻発で責任準備金が大きく減少
火災保険料アップの背景には、近年相次ぐ巨大災害がある。2019年には9月に房総半島に大きな被害をもたらした台風15号、10月に東日本を襲った台風19号が発生し、保険金支払額は4656億円、5826億円に及んだ。その前年、2018年の台風21号では1兆678億円が払われている。
こうした巨大災害での支払いに備え、損害保険会社は確実に保険金を支払うためにいくつかの仕組みを持っている。その1つが責任準備金だ。これには普通責任準備金、危険準備金、異常危険準備金など5種類があり、そのうちの1つが巨大災害に備えた異常危険準備金。それがこのところの災害で大きく減少している。
もう1つの仕組みは再保険。保険会社も保険をかけてリスクを分散させているのだが、その保険料が災害の多発で値上がりしている。世界的に見てもこれだけ巨大災害が頻発し、莫大な保険金支払いが必要になる国は少なく、海外から見ると日本は危険な国。当然、再保険料の値上がりは今後も続くだろう。
手持ちの準備金は足らず、再保険料は値上がるとなれば保険料を値上げせざるをえない。状況に合わせて保険料を柔軟に設定するためには保険期間も短縮せざるをえないというのが現況なのである。
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