ここのところ毎年のように日本各地を豪雨が襲い、浸水や倒壊などで自宅を失う人も少なくありません。そのようなときに生活再建の助けとなるのが火災保険。しかし補償内容によっては、保険金をほとんど受け取ることができない場合もあります。 【写真】いまマンションを「買っていい街」「ダメな街」を実名公開する 多くの人が見落としている火災保険の「落とし穴」について、実際の事例をもとに解説していきましょう。
念願のマイホームのはずが…
岡山県の機械メーカーに勤務する大野健二さん(仮名・35歳)は、結婚5年目を迎えた30歳のときに、地元である岡山市郊外に念願だったマイホームを建てました。 購入費用の総額3200万円のうち、夫婦の貯金と大野さんの親からの援助を合わせて600万円は頭金として支払い、残りの2600万円は長期固定金利型住宅ローンのフラット35で35年ローンを組みました。金利は1.67%で、月々の返済額は約8万2000円。4歳の長男は保育園に預けて奥様も印刷会社の事務として働いていたので、生活は安定していました。 フラット35においては返済が終了するまでの間、住宅金融支援機構の定める要件を満たす火災保険に加入することが求められます。大野さんは自宅を建てた工務店から火災保険の提案を受けました。 建物の保険金額が2300万円、家財の保険金額は700万円で、火災のほか、落雷、(火災やガス漏れによる)破裂・爆発、風災、雹(ひょう)災、雪災が補償される基本プランは、保険料が10年契約の一括払いで19万8000円。 それに対して、基本プランに加えて、水ぬれ、盗難、水災、破損・汚損等も補償される充実プランは、同じ10年契約の一括払いで39万7000円でした。どちらにも地震保険は含まれておらず、加入する場合は追加で保険料が掛かります。 貯金はできるだけローンの頭金に回したこともあり、大野さんはなるべく保険料が安いプランを希望しました。2つのプランの保険料の差は約20万円。10年契約なので、月額だと約1700円の差になります。 家を建てたのは子どもの頃から住んでいた地元で、それまで大きな災害を経験したこともなかったので、内容を吟味することもなく、保険料が安い基本プランを選択して火災保険に加入しました。また地震保険も付けませんでした。 家が建つと、思い描いていたとおりの幸せな生活が待っていました。妻と二人の希望を形にしたマイホームでの暮らしは快適で、週末にリビングで子どもと遊ぶときが大野さんにとっては何より幸せな時間でした。ところがその生活は長くは続きませんでした。 月に1700円、10年間で約20万円の保険料を節約しようとした大野さんですが、この後予想外の災害に見舞われ、火災保険の「落とし穴」にハマってしまうことになります。大野さん一家が遭遇した非常事態については、【後編】『月々700円の保険料をケチったせいで、マイホームを失った30代夫婦の悲劇』をご覧ください。 ---------- ※登場された方のプライバシーに配慮し、実際の事例を一部変更、再構成しています。 ----------
長尾 真一(ファイナンシャルプランナー(AFP認定者))
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