岡山県の機械メーカーに勤務する大野健二さん(仮名・35歳)は、30歳のときに2600万円の35年ローンを組んで、念願のマイホームを建てました。水災や自宅の破損・汚染などへの補償オプションがない、基本プランの火災保険を選択。 【写真】「1700円」の保険料をケチったせいで… 月額にして約1700円の保険料を節約できたことは、【前編】『月々1700円をケチって、火災保険の「落とし穴」にハマった30代夫婦の大誤算』で見た通りです。しかしそんな大野さん一家を、予想外の災害が襲うのでした。
予期せぬ集中豪雨に見舞われた
それから数年後、今までに経験したことのない集中豪雨が大野さんの住んでいる地域を直撃しました。大雨特別警報が発表され、夜になって避難指示も発令されました。幼い子どもがいる大野さん一家はそのまま自宅で一夜を過ごすことに不安を覚え、早めに避難所に避難することを決断しました。 結果的にその決断は正しかったのですが、夜が明けた後には信じがたい光景が広がっていました。多くの家が激しい土石流にのまれて瓦礫と化していたのです。そして大野さんの自宅もその中の一軒でした。 同じように被災した近所の人から「火災保険で浸水や土砂による被害が補償される場合がある」と聞いた大野さん。火災保険に加入していることは分かっていたものの、補償内容はすっかり忘れてしまっていたので、保険会社のコールセンターに問い合わせてみることにしました。 「少しでも保険金が出れば…」と淡い期待を抱いて電話をしましたが、返ってきたのは「契約している火災保険に水災の補償は含まれていないので保険金支払いの対象にはならない」という回答でした。そこで大野さんは保険料の安さを優先して、最低限の補償のみの基本プランで契約したことを思い出しました。安易に契約したことを後悔しても、後の祭りでした。
水災補償をつけなかったために…
大野さんの火災保険は、再調達価額で建物2300万円、家財700万円の保険金額で契約しており、もし水災補償の付いたプランにしていれば、全損の場合は建物と家財を合わせた3000万円に加えて臨時費用保険金300万円の合計3300万円が支払われるはずでした。 被災した当時の住宅ローンの元金残高は約2489万円だったので、ローンの残債は保険金で一括返済し、身の回り品や車など生活再建に必要なものも買い直せる金額でした。 ところが10年分で約20万円の保険料を出し惜しんだため、家や家財を失った上に住宅ローンはそのまま残ってしまうことになったのです。その後、被災者生活再建支援金、自治体の災害見舞金、複数回にわたって配分される義援金によって合計約475万円の支援を受け取ることができましたが、生活再建のために使うとほとんど残りませんでした。 予期せぬ災害によって、夢のマイホームでの幸せな生活はわずか数年で突然終わりを告げました。大野さん一家はとりあえず近くのアパートを借りて暮らしていますが、家を再築する場合は二重ローンになります。 土地を売却して住宅ローンの返済に充てたくとも、このような災害があったのですぐに買い手が見つかるとは限らず、購入時より土地の価格が下がることは避けられません。大野さんはどうするべきか頭を悩ませています。
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